さわけんこと澤田です!
実に38日間にもおよぶパリ2024五輪ボランティアの活動を終えました。全てをここで語ることはできませんが、私の目を通した「有観客のオリンピック」の姿と、ボランティア活動の裏側を紹介したいと思います。
私のボランティア活動の役割は、世界中の報道陣が集まるMPC(メイン・プレス・センター)において、メディアの方たちのさまざまな困りごとを解決するためのサポートを行うヘルプデスクでした。今回のパリ2024大会ではあらゆる情報がオンライン化され完全ペーパーレスになった一方で、様々なアプリをインストールし、サービス登録する必要がありました。残念ながら認証情報は統合されておらずいくつものアカウントを作成しなければならず、少なくないメディアの方々が混乱。ヘルプデスクで最も多かった問い合わせはこうしたサービス登録・アカウント作成に関するものでした。奇遇にも、本職がITエンジニアで、趣味で「スマホアドバイザー」の資格を所持している私にとっては天職のような役割だったかもしれません。
とはいえ逆にこの豊富な情報が私たちボランティアにとって悩みのタネとなり、非常に苦労の多い現場だったのも事実です。300ページにも及ぶメディア向けマニュアルがあり、各種問い合わせはこのマニュアルおよびMyInfoの情報をベースに回答するわけです。「全部覚えなくても平気よ!心配しないで!検索すればいいんだから」と組織委員会のスーパーバイザーは最初言っていたのですが、セキュリティの関係で閲覧・検索用のPCが結局最後まで満足に利用できず、膨大な情報をボランティア活動中のヒマな時間や、宿に戻ってからもひたすら読み込んでは頭に叩き込むという「残業」が必要でした。本当はもっとパリ市街を見て回りたかったのですが、宿に戻ってからもずっとマニュアルと睨めっこしてた時間が長かった気がします。こうして得られた膨大な情報の中から特に重要な情報を抜粋し、前日発生したトラブルやTough Question(回答に難儀した問い合わせ)などをGoogle Spreadsheetにまとめてボランティア全員と共有するナレッジマネージメントを率先して行ったことで、のちにヘルプデスク関係者に「プロい」「お前は何者だ」と大いに感謝されることになります。
もうこうなると、ほぼ「業務」「仕事」です。オリンピック・パラリンピックの競技会場にあるような熱狂的な高揚感とかはほとんど感じられません。なので人によってはMPCは「つまらないハズレ会場・ハズレ役割」と感じる方もいるかもしれません。ただ、どんな現場であっても「大会を支える喜び」や「世界中から集ったボランティア仲間たちの出会い」といった価値は普遍的なものなので、それだけでも大いに楽しめることは間違いありません。
ボランティアに配布されたユニフォーム類一式と、活動後に配布された様々なアイテムです。
こちら、MPC近くに設置されたモータープールで見かけた、東京2020でいうところのT1/T2/T3のトヨタ車です。運転手を担うボランティアたちはここで呼ばれるまで待機なのですが、近くにトイレや暑さをしのげる場所もなく大変そうでした。
「東京2020大会との比較」「強いリーダーシップスタイルと弱いリーダーシップスタイル」「五輪とテーマパークの類似性」など今回語り尽くせなかったことがたくさんありますが、これらはまた別の機会に!