ハロー・ボランティア
メタバースの世界においてボランティアは必要とされるのか

Volunteer in Metaverse

メタバース(Metaverse)という言葉をご存知でしょうか?コンピュータ上の3次元仮想空間内に展開されたサービスや仮想空間そのものを指していて、2006年頃に話題となった「セカンドライフ」や、「ドラゴンクエスト10」「ファイナルファンタジー14」「モンスターハンター」などのMMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)や、「あつまれ どうぶつの森」「マインクラフト」などのオンライン型ゲームもメタバースの原始的な形と言われています。

ファイナルファンタジー14で集合写真を撮影している様子
ファイナルファンタジー14で集合写真を撮影している様子

こうした仮想世界が今、劇的な進化を遂げ、広く普及しようとしています。「渋谷5G」のように現実世界を仮想世界で忠実に再現する試みや、現実には存在しない世界を仮想世界にゼロから作り上げるプロジェクトも多数進行中です。仮想世界において、現実世界の姿と異なる姿(アバター)に扮することは必須条件ではありませんが、ファイナルファンタジー14の画像を見てわかる通り、その世界観にあった姿に変身するのが定番となっています。

渋谷5G
渋谷5G

映画「サマーウォーズ」や「マトリックス」、アニメ「SAO(ソードアート・オンライン)」等に登場する仮想世界を実際に体験できる日は割とすぐそこまで来ています。

映画「サマーウォーズ」に登場する仮想世界OZ
映画「サマーウォーズ」に登場する仮想世界OZ

メタバースで多様化する経験・体験

この急激に発展し実用化しつつあるメタバース世界では、実に様々な活動や経験をすることが可能になるでしょう。リアルに再現された街を歩き回ったり、アーチストのライブを視聴したり、サッカー観戦をスタジアムでもDAZNでもなく仮想世界に設置された仮想スタジアムの観客として観戦するなどのような現実世界の模倣・コピーだけにとどまらず、現実世界では体験できないような、例えば地震や津波などの非常事態を人工的に発生させてそれらの対応法の訓練をするなど、まさに映画「マトリックス」の戦闘訓練を地で行く体験をすることも可能になると言われています。

そして、あらゆるエンターテイメントや社会的活動がメタバースの世界へ展開され、そこが多数派となったとき、リアル世界で活動していた私たちボランティアたちはいったいどうなっていくのでしょうか。メタバースのボランティアとはどういった形となるのでしょうか?鍵となるのは、仮想世界におけるシステム化とコミュニティ性です。

仮想世界におけるシステム化

映画館に行った時を思い出しましょう。チケットブースでチケットを購入し、シアター入口でスタッフにチケットを見せる、もしくはQRコードをかざして入場、最終的に座席について映画を見ることになります。これがYouTubeやNetflix等ではどうなるでしょうか?購入の際に「チケットブース」に行くわけでもなく、どこかに「入場」するわけでもなく、「座席」があるわけでもありません。映像は直接ユーザーの画面上に配信されます。この仕組みにおいて人が介在して何かをするということはなく、課金からサービス消費まで全てが自動化されている‥‥これが「システム化」の意味するところです。メタバースのような仮想世界では非常に多くサービスや社会活動がシステム化されている可能性が高く、そうなった場合、有償スタッフやボランティアなどの人員は必要とされないのです。

メタバースのプラットフォーム覇権争い

現時点で「これがメタバースです」と言えるようなプラットフォームはまだ存在しません。様々なゲームや仮想空間サービスが林立して群雄割拠状態にありますが、今後これらの統合が進み、熾烈なプラットフォーム覇権争いが始まることでしょう。どのようなプラットフォームが生き残るのか予想するのは非常に難しいですが、様々なサービスをユーザーが容易にシステムとして利用可能なプラットフォームが有利であることは間違いないでしょう。このようにしてシステム化が促進される仮想世界において、ボランティアの活路は見い出せないのでしょうか?どうやらそうでもなさそうなのです。

システムを超える人間の創造力

ドラゴンクエスト10では様々なユーザー間取引が活発に行われています。メルカリやヤフオクに良く似たトレーディングシステムがあるにもかかわらず、そのシステム外での直接取引が多数発生しています。

ドラゴンクエスト10で自然発生的に形成される行列
ドラゴンクエスト10で自然発生的に形成される行列

上の画像は、取引を求めて行列を作るユーザーたちの様子です。興味深いことにゲーム内で実際に待ち行列が形成されています。システム化されていないので、取引をする人、取引内容を告知して回る人(広告する人)、列整理をする人など、実際の人間の力が必要となってきます。システムとユーザーのニーズの溝を埋めるのは人間にしかできません。

ユーザーもコンテンツ提供する側も、こうした仮想世界そのものや、仮想世界の中で展開されるシステムに乗っかれる人とそうでない人の格差が大きく生まれることは容易に想像ができます。こうしたデジタル格差ならぬ、メタバース格差を埋める役割を担うのがボランティアの大きな役割のひとつとなるでしょう。今でも多くのスマホ講座やSNS講座が開催されており、キャリアや自治体だけでなく多くのボランティアたちによって支えられています。それと同じ役割がメタバース世界にも必要とされるというわけです。さらに、楽天やアマゾン、メルカリなどのシステムを利用せずに、サービスを自力で提供しようとするならば、そこにもボランティア活用の余地が生まれます。単にスキルがないからシステムに乗せられないというものではなく、斬新すぎてシステムが追いついていないがためにシステムの範疇外となっているような、そんな新しいサービスのお手伝いが誕生すれば、ボランティアのしがいがありそうですね。

メタバースの本質はコミュニティ性

メタバースの重要なもうひとつの側面は、異なる地域の人々が様々な方法で交流、コミュニケーション、協力することができるコミュニティベースの文化であるということです。

どんなコミュニティでも、物事を実現するために時間、スキル、そしてエネルギーを提供・貢献できる人が必要です。現実世界では、それらの人々を「ボランティア」と呼び、社会、文化、環境のイニシアチブにおいて重要な役割を果たしているわけですが、メタバースにおいても同様で、ボランティアは人々を結びつけるコミュニティの維持・運営・発展において、重要な役割を果たすことになるでしょう。

ただし、メタバースがよりシステム化され、商業化されるにつれて、コミュニティ機能そのものがシステムによってサポートされたり提供されることでボランティアの役割は限定されるか、または消失する可能性は残されていますが、ゼロになることはありません。その時ボランティアは何を産み出すのか。私達の創造性が今後問われることになります。

Facebookはメタバース時代のボランティアの良き練習場

そういう意味では、コミュニティ形成をコアバリューとしているFacebookは、メタバース時代におけるボランティア活動の良き練習場と言えるかもしれません。コミュニティに所属しながら、コミュニティに対する自主的・自発的な貢献をしていくわけです。とくに、ハロー・ボランティアはボランティアたちのコミュニティ。ボランティアのボランティア、つまり「メタ・ボランティア」としての経験はメタバース世界においてもその有用性は不変です。

Facebookを運営するFacebook社は2021年10月28日に社名を「Meta(メタ)」に変更しましたが、メタバースを意識していることは明らかです。コミュニティの価値を最も理解しているFacebookだからこその社名変更と言えます。

Facebook社からMeta社へ
Facebook社からMeta社へ

来たるべく「メタ」の世界に備えて、「メタ・ボランティア」での経験値を共にたくさん積み重ねていきましょう!

Created 2023/02/19 21:48
Updated 2023/02/25 14:58
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